Google広告のオークション分析とは?活用方法や便利なモニタリング環境の整備方法を紹介

リスティング広告で、新しくアカウントを作成して運用を開始する場合、広告費用を計算する必要があります。

業界やサービス・商品によって適切な広告費用は異なりますが、適切な広告費用の計算を間違えると様々な問題が発生します。

今回は、業界やサービスに関わらずリスティング広告の費用を計算するための考え方と、一般的に開始時に設定される広告予算の相場をご紹介します。

リスティング広告費用の計算方法

リスティング広告の費用を計算する方法は様々です。

広告費用を計算するには『目標コンバージョン単価』などの指標を使う必要がありますが、企業によっては目標コンバージョン単価が決まっていないという場合も(珍しいですが)あります。

この後解説する計算方法や考え方を身に着けておくことで、『まずは目標コンバージョン単価を決める』ということを広告主と一緒に考えることも出来るようになります。

ここではレベル別に、リスティング広告の広告費用を計算する方法を3つ解説します。

・目標コンバージョン数をもとに計算する方法(初級)

・目標とする利益を使って計算する(中級)

・目標コンバージョンに合わせた広告費用(上級)

目標コンバージョン数をもとに計算する方法(初級)

広告費用の計算方法の中で最も一般的で簡単な方法は、目標としているコンバージョン数をベースに計算する方法です。

『コンバージョンの目標件数が100件』のように、コンバージョン数を目標としている場合には有効な方法です。

広告費用を計算する場合は、目標コンバージョン単価を加えて、【コンバージョン数 × 目標コンバージョン単価】で計算します。

目標としているコンバージョン数が既にあり、更に1件あたりのコンバージョン単価の目安があれば、簡単に広告費用を計算する事ができます。

例えば100件のコンバージョンを、1件あたり2,000円で獲得したい場合の広告費用は【100件×2,000円=200,000円】となります。

非常に簡単に計算できる方法ですが、この計算式は『目標コンバージョン単価を高く設定するほど、多くのコンバージョンが獲得できる』というリスティング広告の特性を考慮していません。

獲得する事ができるコンバージョン数は目標コンバージョン単価と強く関係しており、より多くのコンバージョン数を獲得しようとすればするほど、コンバージョン単価は上昇します。

いくつかの広告費用に合わせて、コンバージョン単価がどのように変化するのか?といった算出をする場合は、この後紹介する『上級』の方法で計算する必要があります。

目標とする利益を使って計算する(中級)

目標コンバージョン単価が決まっていない場合は、こちらの方法で『目標コンバージョン単価を計算する』ことをおすすめします。

広告主側で目標とするコンバージョン単価が決まっていない場合でも、広告費用対効果のROASやROIなどの指標には基準があることが多いため、計算する前にそれらの指標をヒアリングしておくことをおすすめします。

ただし、ROASやROIが高いとしても合計の利益がたったの1万円しか出せないような場合は、わざわざ時間と人件費を掛けてリスティング広告を配信するとは考えにくいです。

よって、ROASやROIの話の流れで、『目標とする利益』がどの程度必要なのかヒアリングすると、スームズに広告主から回答をもらうことが出来ます。

具体的な計算方法を紹介するために、『リスティング広告を配信し、30万円の利益を得る』ことを目標としているケースで解説します。

まずは、『コンバージョン1件あたりの目標利益』を考えます。

例えば、コンバージョンが発生した後のサービスや商品を提供するための人件費などを考えると、コンバージョンを獲得する段階で2,500円の利益が必要だとします。

そして、仮に1件あたりの売上を10,000円とします。

ここまでの情報を一度整理します。

  • リスティング広告で獲得する利益の目標額は30万円
  • コンバージョン1件あたりの必要な利益は2,500円
  • コンバージョン1件あたりの売上は10,000円

これらの数値を使って、目標コンバージョン単価を計算します。

目標コンバージョン単価とは、言い換えれば『利益を残すために使える費用』であり、【売上 ー 利益】で計算できます。

つまり【10,000円ー2,500円=7,500円】で計算することが出来ます。

よって、7,500円が目標コンバージョン単価になります。

次に、広告費用を計算します。

広告費用は、【目標の利益 ÷ コンバージョン1件あたりの必要な利益 × 目標コンバージョン単価】で計算することが出来ます。

つまり【300,000円÷2,500円×7,500円】で計算することが出来、900,000円となります。

整理すると、30万円の利益を得るためには90万円の広告費用が必要という結果になります。

ちなみに90万円を使った際の獲得売上は120万円(=売上1万円のコンバージョンが120件)のため、売上から広告費用を引くと30万円の利益が残る計算になります。

目標コンバージョンに合わせた広告費用(上級)

リスティング広告では、目標コンバージョン単価に合わせて獲得できるコンバージョン数が変化します。

理由は広告配信をするキーワードごとにコンバージョン単価が異なり、それぞれのキーワードごとに検索されるボリューム(=広告配信出来るボリューム)が決まっているためです。

コンバージョン単価が安いキーワードから順に広告を配信しますが、コンバージョンの目標数を『コンバージョン単価が低いキーワード』のみで達成できない場合は、ある程度コンバージョン単価の高いキーワードへも広告を配信する必要性が出てきます。

よってコンバージョン数の目標が高ければ高いほど、コンバージョン単価は高くなります。

この特性を考慮し、『目標コンバージョン単価内でコンバージョン獲得できる広告費用』を計算することが大切です。

目標コンバージョン単価をもとに、予算を計算する方法は次のとおりです。

  1. 【目標コンバージョン単価 × 業界平均コンバージョン率】で基準クリック単価を計算
  2. 基準クリック単価をもとにキーワードを選定
  3. 【キーワードの月間検索ボリューム × 業界平均クリック率】で想定クリック数を計算
  4. 広告費用と予測コンバージョン数を計算

ステップごとに1つづつ解説します。

  • 【目標コンバージョン単価 × 業界平均コンバージョン率】で基準クリック単価を計算

まずはキーワード選定を行うために、基準クリック単価を計算します。

基準クリック単価を計算することで、リスティング広告を配信しても利益の出せそうなキーワードと利益が出る可能性が低いキーワードを見分けることが出来ます。

計算には、目標コンバージョン単価と業界平均コンバージョン率を使います。

業界平均コンバージョン率の参考値は、『WordStream』が各業界の平均コンバージョン率を開示しているのでこちらを使います。

各業界の平均コンバージョン率・平均クリック率(WordStream)

ただしコンバージョン率は業界だけでなく、商材やランディングページのデザインなど様々な要素によって変化するため、必ず業界平均に近い数値になるわけではありません。

あくまで参考値として使用する、ということを忘れないでください。

もしも同じ業界の過去実績などのデータがあれば、そちらを使っても問題ありません。

そして、コンバージョン率の参考値を使って『基準クリック単価』を計算します。

例えば、目標コンバージョン単価が3,000円、業界平均コンバージョン率が3%の場合の基準クリック単価の計算は次のようになります。

【3,000円(目標コンバージョン単価)×3%(コンバージョン率)=90円(基準クリック単価)】

  • 基準クリック単価をもとにキーワードを選定。

次に基準クリック単価(例 90円)を使って、リスティング広告を配信するキーワードを選びましょう。

先程計算した基準クリック単価の90円はあくまで基準のため、基準値より高いキーワードでも選定キーワードに含めることは可能です。

理由としては、実際に広告配信するときに低い入札単価を設定できるという点と、配信するキーワードの中にはクリック単価が低いキーワードも含まれているため、選択したキーワード全体でのクリック単価の平均値を90円程度に調整することは十分に可能なためです。

ただしクリック単価の予測値と比べて設定入札単価が低すぎる場合、広告配信が行なえないことが多いため、基準値の2倍以上のキーワードの扱いには注意が必要です。

基準値よりも2倍以上のキーワードは登録は行っても、次のステップで行う予算計算のキーワードには含めないことをおすすめします。

理由は入札単価が低すぎることで実際には配信出来ないキーワードを予算の計算に含めないためです。

配信するキーワードを選んだり、各キーワードのクリック単価などを調べる方法としてはGoogleが提供しているキーワードプランナーの活用をおすすめします。

  • 【キーワードの月間検索ボリューム × 業界平均クリック率】で想定クリック数を計算

(Googleキーワードプランナーなどで)選定したキーワードの月間検索ボリュームを計算した後は、業界平均クリック率を使って『想定クリック数』を計算しましょう。

業界別の平均クリック率は先程も紹介した『WordStream』か、または実績ベースで参照出来るデータがあれば活用しましょう。

各業界の平均コンバージョン率・平均クリック率(WordStream)

  • 広告費用と予測コンバージョン数を計算

最後に、広告費用と想定コンバージョン数を計算します。

計算式はそれぞれ次の通りです。

【予算 = 想定クリック数 × 基準クリック単価】

【コンバージョン数 = 想定クリック数 × 業界平均コンバージョン率】

計算の手順としては多いですが、以上の計算を行うことで目標コンバージョン単価で獲得することができるコンバージョン数を具体的にイメージする事ができます。

また、計算したコンバージョン数が少ない場合は、目標コンバージョン数を達成するために必要な対応などもイメージしやすくなります。

リスティング広告の費用対効果を改善するポイント

リスティング広告開始時はあまり大きな広告費用を使わずに、成果に合わせて徐々に投下する費用を増やしていくのが一般的です。

よって、最初の方は『少額でも効率よく売上と利益を増やしていくための運用』が必要です。

ここでは、リスティング広告の費用対効果を高めるためのポイントについて解説します。

  • 検索キーワード・広告文・ランディングページをすべてマッチさせる

費用対効果を高めるためには、商品を購入する可能性が高いユーザーを1人でも多く、ストレスなく購入まで誘導することが大切です。

そのために、リスティング広告では自社の商品を求めているユーザーが検索するキーワードを考え、可能な限り費用対効果を下げてしまうような検索キーワードへは広告を出稿しないようにすることが重要です。

そして、広告を配信するキーワードを絞った状態で、想定したサービスや商品を求めているユーザーが反応しそうな広告文と、購入する際の不安などを解消するランディングページへ誘導します。

この導線をきちんと整理すれば、リスティング広告の費用対効果を大きく改善することが出来ます。

多くの成果を出せていないリスティング広告では、自社のサービスや商品を求めてるユーザーが検索するキーワードを具体的にイメージ出来ておらず、広告文やランディングページでのコミュニケーションに問題があります。

広告費用が少ない場合は、広告を配信するユーザーを絞り込むことが大切になるため、特にキーワード選定には時間をかけて、慎重に選定する事をおすすめします。

  • 専門的な知識を学び、活用する

リスティング広告の運用では、対応するべき業務は非常に多いです。

そして、これらの業務を行うためには一定の専門的な知識が必要になります。

例えば、適切なアカウント構成の作成や調整、機械学習を使った自動入札機能の活用などです。

専門的な知識を学び、必要な対応を取ることができていれば、運用レベルを上げることが出来、成果が改善する可能性も高くなります。

リスティング広告費用の相場

リスティング広告を開始する場合の相場なども把握しておきましょう。

相場よりも低い金額で開始した場合、データボリュームが少なく分析が難しくなるなどの理由で、素早く効果改善することが出来ない可能性があります。

運用者にとっての基礎知識として、覚えておきましょう。

  • リスティング広告開始時の費用相場は20~30万円

リスティング広告を始める際の費用相場は、20~30万円程度です。

リスティング広告は1,000円から始めることが出来ますが、分析するためのデータを一定数確保するために、20万円から30万円程度から始める企業が多くなっています。

広告代理店に運用などを依頼する場合の最低出稿金額も20~30万円程度で設定されているため、リスティング広告の配信を開始する場合は相場金額も参考にするといいでしょう。

リスティング広告の運用代行の手数料

広告代理店に運用など外注する場合は、手数料が発生します。

この手数料の相場は『20%』となっており、例えば100万円の広告費を使う場合の手数料は20万円になります。

手数料は広告費の金額に関係なく一定となっており、100万円でも1,000万円でも20%という比率は変わりません。

リスティング広告の運用では、自社運用と広告代理店への外注のうち、どちらかを選択します。

自社運用の場合は人件費、外注の場合は手数料という形でリスティング広告の運用のための費用が発生します。

まとめ

今回はリスティング広告の費用の計算方法について解説しました。

計算方法は様々ですが、細かく計算をすることで実績との差分をより正確に分析することができ、次に同じような計算をする時に精度を高めることも出来ます。

また、計算が外れたときにも広告主に対して、説明責任を果たしやすくなることで信頼感を得ることも出来ます。

広告主との信頼関係を築くためにも、ぜひレベルの高い方法で広告費用を計算してみて下さい。