![](https://satomasaki.net/wp-content/uploads/2022/11/abffd09128c68485c4dc24db34e586c7.jpg)
リスティング広告の運用において、成果に大きく影響を与える要素の1つがアカウント構成です。
アカウント構成を見直し、適切に設計することで大きく成果を改善できるケースも珍しくありません。
アカウント構成については、GoogleがHagakure(ハガクレ)と呼ばれる推奨構成について周知していますが、売上と利益の増加や、運用オペレーションの観点を含めると、プラスアルファの工夫が必要になります。
今回は、Hagakureなどのアカウント構成に関するベースとなる要素を抑えつつ、効率的にリスティング広告で売上と利益を増やすことが出来る運用ノウハウについて解説します。
リスティング広告の運用者だけでなく、運用を外注している広告主の方にとっても参考になる内容となっているため、最後までぜひご覧ください。
リスティング広告のアカウント構成とは
アカウント構成は、次の5つの要素で構成されています。
- アカウント
- キャンペーン
- 広告グループ
- 広告(と広告表示オプション)
- キーワード
上から順に大きな階層となっており、リスティング広告ではキャンペーンの階層から配信実績に影響する様々な設定を行うことが可能です。
アカウント設計とは、ビジネスや広告配信の目的に合わせてこれらの要素を使って組み立てを行い、各階層ごとに設定を行うことです。
- アカウント構成の役割
リスティング広告は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを使っているユーザーが、キーワードを検索したときに広告を配信することができる広告メニューです。
リスティング広告では、ユーザーが検索したキーワードである『検索ニーズ』に対応している広告やランディングページを配信することによって、コンバージョンを獲得できる可能性が高くなり、費用対効果も高くなります。
逆に、検索ニーズにマッチしていない広告やランディングページを配信してしまうと、コンバージョンにつながらず、費用対効果が悪化する可能性が高くなります。
アカウント構成を適切に設計することが出来ていれば、検索ニーズに対して、適切な広告やランディングページを配信することが可能です。
多種多様な検索ニーズに対して、適切な広告やランディングページを配信できるようにコントロールすることが、アカウント構成の重要な役割となります。
リスティング広告のアカウント構成を作成するポイント
成果を出すことが出来るアカウント構成を作成するポイントは複数あります。
ここでは、媒体が推奨しているHagakureに加えて、広告主のビジネス拡大と、運用効率を改善するための工夫も合わせて解説します。
- 広告媒体が推奨するHagakure(ハガクレ)
Hagakure(ハガクレ)とは、Googleがコーポレートサイトで掲げている思想を「リスティング広告」に当てはめた考え方です。
https://about.google/?hl=ja
Hagakureの考え方において、ユーザーが求めている情報(=ユーザーの検索キーワード)と関連性のある広告とランディングページを配信出来ているかどうかが重要となります。
例えば、【スニーカー】と検索したユーザーに対しては、【スニーカー】について関係があると知らせるための広告と、【スニーカー】について販売(または紹介)しているサイトをランディングページに設定する必要があります。
このように検索キーワードと配信する広告、そしてランディングページをマッチさせることが出来るアカウント構成を設計することが重要となります。
Hagakureに沿った構成にすることで、入札価格が低くても広告が配信されやすくなる等の広告主にとってメリットが発生するようなアルゴリズムを媒体も組んでいるため、リスティング広告の成果を改善できる可能性も高くなります。
- 利益ベースで検索ニーズをカテゴリ分けする
リスティング広告では、コンバージョン数とコンバージョン単価の2つの指標をKPIとして運用しているケースが非常に多いです。
ただしコンバージョンの中には、利益率の高いコンバージョンもあれば、逆に利益率の低いコンバージョンもあります。
業界やビジネスモデルによって、コンバージョンごとに価値が異なる要素は様々ですが、コンバージョンの価値が変化する要素を広告運用者も理解しておく必要があります。
コンバージョンの価値が異なる要素を理解することで、利益を増やすためのアカウント構成を考えることが出来ます。
コンバージョンの価値が異なる要素は、次の2つのデータに注目することで探すことが出来ます。
- 属性データ
- 行動データ
属性データでは、ユーザーの住んでいる地域、年齢や性別などの変化する可能性が低いデータに注目します。
一方で行動データでは、コンバージョンするまでに閲覧しているページなどの行動ベースのデータに注目します。
ユーザーごとの属性や、行動によってコンバージョンの価値に差が出ているのかを分析することで、利益を多く獲得できるコンバージョンを具体的にイメージすることが可能です。
- コンバージョン率(CVR)の高い属性の切り出し
リスティング広告では、購入やサービス申込みのニーズが具体的な検索キーワードほど、コンバージョン率が高い傾向にあります。
費用対効果を維持しつつ売上拡大していくためには、コンバージョン率が高いキーワードから順に十分なアプローチをすることが大切です。
具体的な方法としては、コンバージョン率が高いキーワードをある程度の配信ボリュームを担保できる粒度で、広告グループとして切り出しておくことです。
広告グループとして切り出す理由は、自動入札機能で調整できる最小単位が広告グループとなっているためです。
コンバージョン率が高いキーワードと、低いキーワードが同じ広告グループにまとめられている場合、コンバージョン率が高いキーワードのみを入札強化することが難しくなります。
コンバージョン率が高いキーワードを、費用対効果が高く維持できる範囲で最大限配信できるように、該当のキーワードは別の広告グループに分けて管理しておくことをおすすめします。
リスティング広告のアカウント構成の作成手順
アカウント構成は、次の手順で作成(再構築)を行います。
- 広告主の売上構成のポートフォリオを確認。
- 広告グループを分けるカテゴリを決定。
- 配信ボリュームが少なすぎる広告グループがないか確認。
- 予算、分析効率の観点を含めキャンペーンにまとめる広告グループを決定。
- 広告主の売上構成のポートフォリオを確認
アカウント構成を作成する上で、まずはじめに確認するべきは広告主のビジネスの売上構成のポートフォリオです。
売上構成の分け方として、扱う商品が複数であれば商品やサービスのカテゴリ分けが一般的ですが、1つの商品やサービスを取り扱う場合でも、エリアや年齢などで売上を分解することが出来ます。
売上構成が大きいカテゴリや、利益率の高いカテゴリを理解することは広告主のビジネスを理解する上でも重要なステップになります。
- 広告グループを分けるカテゴリを決定
広告主のビジネスの売上構成を理解したあとは『コンバージョンの期待売上(または利益)が異なる要素』の観点に加えて、検索ニーズごとに広告グループを作成します。
そして、広告グループごとに整理した検索ニーズに合わせて、検索ニーズとマッチしたキーワードを選定します。
登録するキーワードを選ぶ際に、利益率の高いカテゴリや全体売上に対して高い比率を占めているカテゴリを把握しておくと、キーワードを拡張させる優先順位も決めやすくなります。
利益率が高い要素から順にキーワードを拡張させることで、キーワード拡張による費用対効果が悪化するリスクを抑えることが出来ます。
配信ボリュームが少なすぎる広告グループがないか確認
広告グループごとに登録するキーワードが整理できたあとは、広告グループ単位で配信ボリュームが少なすぎるものが無いか確認しておきましょう。
キーワードごとの検索ボリュームは、Googleのキーワードプランナーなどのツールを使って調査します。
広告グループ単位で配信ボリュームが少なすぎる場合、広告が十分に配信出来ない可能性が高くなります。
配信ボリュームが少ない場合、動的検索広告(DSA)やアドカスタマイザーやキーワード挿入機能などを活用して該当の広告グループをまとめる事が出来ないか考えてみましょう。
- 予算、分析効率の観点を含めキャンペーンにまとめる広告グループを決定
整理をした広告グループを、予算と分析の観点を含めてキャンペーン単位でまとめます。
広告予算を、エリアや商品ごとに別々で管理している場合、予算の分け方に合わせてキャンペーンを整理することをおすすめします。
オペレーションの観点からも、キャンペーン単位で予算の管理を行った方が、広告費の超過などのトラブルが起きるリスクを下げる事ができます。
また、頻繁に実績の進捗を確認する要素が事前にわかっていれば、キャンペーン単位で整理しておくことで分析作業を効率的に行うことが可能です。
例えば、商品ごとのカテゴリだけでなく、商品と商標キーワード(=指名キーワード)のかけ合わせキーワードの実績を頻繁に確認する必要がある場合は、商標キーワードのキャンペーンは別にして管理することで、管理画面上ですぐに実績の分析を行うことが出きます。
一方で、キャンペーンを商品カテゴリで分け、各キャンペーンの配下に商品と商標キーワードのかけ合わせキーワードの広告グループを作成してしまうと、管理画面上で分析するには少し手間がかかります。
日々の分析作業を効率化することも運用者にとっては重要なスキルとなるため、今後自分が行う分析作業をイメージし、キャンペーンとして何をまとめるかを意識しながらアカウント構成を作成しましょう。
リスティング広告のアカウント構成の注意点
リスティング広告を作成する際の注意ポイントを2つ紹介します。
ポテンシャルを正しく把握したり、分析作業の可能性を広げるためにもアカウント作成時点で対応しておくことをおすすめします。
- 検索ニーズごとに広告グループは細かめに分けておく
過去の配信実績がない状態でアカウント構成を1から作成する場合は、検索ニーズごとに広告グループを細かく分けてアカウント構成を作成することをおすすめします。
アカウント構成を作成する段階の調査で「少し配信ボリュームが少ないかもしれない。」と思っても、実際に広告配信をしてみると十分な配信ボリュームを担保できるケースは珍しくありません。
また、広告グループを細かくするデメリットも確かにありますが、大雑把にまとめてしまうよりも、より検索ニーズにマッチした広告やランディングページを配信できるというメリットもあります。
広告配信直後に、クリック率やコンバージョン率が下がってしまうリスクを可能な限り回避するためにも、最初は細かく広告グループを分けておくことをおすすめします。
まずは配信を行い、実際に配信ボリュームが少ないと把握できたあとに、キーワードを拡張したり、他の広告グループと統合することをおすすめします。
- パラメーターはキーワード単位で設定する
GoogleAnalyticsなどのパラメーターを使って実績を分析する事が多いですが、パラメーターは細かい粒度で設定していた方が分析を行う際に便利です。
設定の手間が少しかかりますが、キーワード単位でユニークのパラメーターを設定しておくことをおすすめします。
「実際のコンバージョンがどのような検索キーワードによって発生したのか知りたい。」などの要望は、広告主の方から頻繁に質問されるため、少しでも正確な回答をするための準備としても有効です。
まとめ
リスティング広告のアカウント構成について、コンバージョン数だけでなく広告主の売上や利益を増やすために重要となる考え方について解説しました。
コンバージョンが増やせても、広告主の売上や利益が増えていなければ広告の成果を評価することが出来ません。
逆に、売上や利益を増やすことを意識して運用する事ができれば、コンバージョンが増えたときに売上や利益を増やすことができ、広告主からの信頼を獲得しやすくなります。
ビジネスや売上構成を把握することで、広告主の戦略にマッチさせた運用を行うことも出来るため、ぜひ今回解説した内容を参考にチャレンジしてみてください。